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処遇改善手当は最低賃金(時給)に含まれる?介護職が給与明細で確かめる3つのポイント【2026年度】

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この記事の結論

  • 毎月払われる処遇改善手当は、最低賃金の計算に含まれます。賞与や一時金として払われる分は含まれません。
  • 最低賃金と比べるのは「毎月の基本的な賃金」だけです。残業代、休日出勤の割増、夜勤の深夜割増の部分、通勤手当、家族手当、皆勤手当は外して計算します。
  • 月給の人は「(月給 − 外す手当)÷ 1か月の平均所定労働時間」が、働いている都道府県の最低賃金以上かどうかを確かめます。
  • 下回っていそうなときは、まず職場に賃金の内訳を確認し、解決しなければ労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。

2026年度の最低賃金は、全国加重平均で1,177円になり、前の年度より56円上がりました。

出典:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日) 資料を見る

最低賃金が上がると、もともとの給与が低めの職場では「処遇改善手当を入れれば最低賃金を超えるが、入れなければ下回る」ということが起こりえます。この記事では、処遇改善手当が最低賃金の計算に含まれるのかと、自分の給与明細での確かめ方を、国の資料をもとに説明します。

処遇改善手当は最低賃金の計算に含まれる?

厚生労働省は、介護職員等処遇改善加算のQ&Aで、この質問に答えています。加算の分が賞与などではなく、通常の賃金として毎月支払われている場合は、最低賃金と比べる賃金に含めるとしています。

出典:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問1-6(2026年3月13日) 資料を見る

一方で、最低賃金法の規則では、賞与のように1か月を超える期間ごとに払われる賃金や、臨時に払われる賃金は、最低賃金の計算に入れないと決まっています。そのため、処遇改善の分を賞与や一時金で受け取っている場合、その分は含まれません。

出典:最低賃金法施行規則 第1条(e-Gov法令検索) 資料を見る

処遇改善の分の払われ方最低賃金の計算
毎月の手当(処遇改善手当など)含める
基本給に組み込まれている含める
賞与・一時金(年度末の精算なども)含めない
3か月ごとなど、1か月を超える間隔でまとめて払われる含めない

なお、処遇改善の分は「処遇改善手当」という名前で払われるとは限りません。厚生労働省のQ&Aでも、職能手当・資格手当・役職手当などの名前で払ってもよいとされています。名前ではなく「毎月決まって払われているか」で見てください。

出典:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問1-3(2026年3月13日) 資料を見る

処遇改善手当を入れてやっと最低賃金を超えるのは違法?

毎月払われている処遇改善手当を含めて最低賃金を超えていれば、最低賃金法の上では不足していないことになります。

ただし、厚生労働省は同じQ&Aで「最低賃金を満たした上で、賃金の引上げを行っていただくことが望ましい」と書いています。処遇改善加算は給与を上乗せするための仕組みなので、本来は最低賃金を満たしたうえで上乗せするのが望ましい、という考え方です。これは事業所への「望ましい」というお願いで、守らなければ違法になる決まりではありません。

最低賃金の計算に入れる賃金・入れない賃金

最低賃金と比べるのは「毎月支払われる基本的な賃金」です。実際に払われた賃金から、次の6つを外したものが対象になります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超えた労働の賃金(残業の割増賃金など)
  4. 所定の休日に働いた分の賃金(休日出勤の割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの労働の賃金のうち、通常の賃金を超える部分(深夜の割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

出典:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」 資料を見る/最低賃金法 第4条 資料を見る

反対に、基本給と、毎月決まって払われる手当(毎月の処遇改善手当、資格手当、職務手当など)は計算に入れます。

夜勤手当の扱い:夜勤手当のうち、深夜(午後10時〜午前5時)の割増にあたる部分は計算から外します。夜勤手当のどこまでが深夜の割増にあたるかは職場の決め方によるため、内訳がわからないときは、いったん夜勤手当をまるごと外して計算してみてください。それでも最低賃金を超えていれば、不足の心配はありません。

外したら下回った場合でも、すぐに違反とは限りません。夜勤手当のうち深夜の割増にあたらない部分は、本来は計算に入るからです。職場に夜勤手当の内訳を確認するか、相談窓口で確かめてください。給与の大半が夜勤手当になる夜勤専従の人は、内訳の確認が欠かせません。

給与明細で確かめる3つのポイント

ポイント1:処遇改善の分が「毎月」払われているか

毎月の給与明細の手当の欄に、処遇改善の分が入っているかを見ます。賞与の明細にだけ載っている場合や、年に数回まとめて払われている場合、その分は最低賃金の計算に入りません。

ポイント2:計算から外す賃金を引く

残業代、休日出勤の割増、夜勤の深夜割増の部分、通勤手当、家族手当、皆勤手当を、総支給額から引きます。

ポイント3:時給に直して、都道府県の最低賃金と比べる

時給制の人は、外す分を除いた時給を最低賃金と比べます。処遇改善手当などが「月にいくら」で払われている場合は、その月額を時給に直して、時給に足してから比べます(計算の例は下にあります)。月給制の人は、次の式で時給に直します。

(月給 − 外す手当)÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金(時間額)

1か月平均所定労働時間 = 1日の所定労働時間 × 1年の所定労働日数 ÷ 12

出典:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」 資料を見る/最低賃金法施行規則 第2条 資料を見る

所定労働時間や年間休日は、雇用契約書(労働条件通知書)や就業規則で確かめられます。

自分の数字で確かめる:時給チェッカー給与明細の数字を4つ入れるだけで、この計算をして判定します

計算の例(大阪府・月給制の正社員)

次の条件で計算してみます(金額は説明のための例です)。

  • 働く場所:大阪府(2026年10月1日からの最低賃金は1,231円)
  • 1日8時間・年間休日110日(1年を365日として、所定労働日は255日)
  • 給与:基本給195,000円、処遇改善手当15,000円(毎月)、皆勤手当5,000円、通勤手当10,000円

1か月平均所定労働時間:8時間 × 255日 ÷ 12 = 170時間

比べる賃金:195,000円 + 15,000円 = 210,000円(皆勤手当と通勤手当は外す)

時給に直すと:210,000円 ÷ 170時間 = 約1,235円 → 1,231円以上なので満たしている

同じ条件で、処遇改善の15,000円が毎月の手当ではなく賞与で払われていた場合は、比べる賃金は基本給の195,000円だけになります。195,000円 ÷ 170時間 = 約1,147円で、最低賃金の1,231円を下回ります。この例では、比べる賃金が月209,270円(1,231円 × 170時間)以上必要です。

計算の例(大阪府・時給制のパート)

時給に加えて、処遇改善手当が月額で払われている例です(金額は説明のための例です)。

  • 働く場所:大阪府(最低賃金1,231円)
  • 時給1,100円、1か月の所定労働時間80時間
  • 処遇改善手当:月15,000円(毎月)

処遇改善手当を時給に直すと:15,000円 ÷ 80時間 = 187.5円

比べる時給:1,100円 + 187.5円 = 1,287.5円 → 1,231円以上なので満たしている

時給1,100円だけを見ると最低賃金を下回って見えますが、毎月の手当を時給に直して足すと上回ります。逆に、この15,000円が賞与や一時金で払われていれば、比べるのは時給1,100円だけになり、最低賃金を下回ります。時給に上乗せする形で払われる手当も、毎月決まって払われる手当と同じ扱いです。

出典:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」(5)組み合わせの場合 資料を見る/同「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問1-4 資料を見る

2026年度の最低賃金(都道府県別)

最低賃金は、働いている事業所がある都道府県の額が使われます。派遣で働いている人は、派遣先の都道府県の額です。2026年度の額は、10月1日から12月2日にかけて都道府県ごとに順番に変わります。発効日より前は「それまで」の額が使われます。

出典:厚生労働省「最低賃金制度の概要」 資料を見る

都道府県新しい額発効日それまで
北海道1,131円10月1日1,075円
青森1,090円10月29日1,029円
岩手1,090円12月1日1,031円
宮城1,098円10月1日1,038円
秋田1,090円10月14日1,031円
山形1,092円10月30日1,032円
福島1,094円10月16日1,033円
茨城1,136円10月18日1,074円
栃木1,125円10月1日1,068円
群馬1,120円10月3日1,063円
埼玉1,196円10月1日1,141円
千葉1,195円10月1日1,140円
東京1,280円10月1日1,226円
神奈川1,279円10月1日1,225円
新潟1,108円10月1日1,050円
富山1,119円10月1日1,062円
石川1,113円10月3日1,054円
福井1,112円10月4日1,053円
山梨1,113円11月1日1,052円
長野1,117円10月2日1,061円
岐阜1,121円10月1日1,065円
静岡1,154円10月15日1,097円
愛知1,195円10月1日1,140円
三重1,143円10月1日1,087円
滋賀1,136円10月3日1,080円
京都1,180円11月16日1,122円
大阪1,231円10月1日1,177円
兵庫1,172円10月1日1,116円
奈良1,107円10月4日1,051円
和歌山1,101円10月3日1,045円
鳥取1,090円10月3日1,030円
島根1,092円10月10日1,033円
岡山1,104円10月2日1,047円
広島1,141円10月11日1,085円
山口1,101円10月8日1,043円
徳島1,103円11月1日1,046円
香川1,092円10月1日1,036円
愛媛1,093円11月1日1,033円
高知1,086円10月29日1,023円
福岡1,114円10月4日1,057円
佐賀1,095円11月15日1,030円
長崎1,087円11月2日1,031円
熊本1,092円12月1日1,034円
大分1,096円11月1日1,035円
宮崎1,085円10月24日1,023円
鹿児島1,090円10月25日1,026円
沖縄1,086円12月2日1,023円
全国加重平均1,177円-1,121円

出典:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」 資料を見る

2026年6月からの処遇改善の拡充と、給料に反映される時期

2026年度は、2027年度の介護報酬改定を待たずに、年度の途中で介護報酬が改定され(期中改定)、処遇改善加算が拡充されました。国は、介護の仕事をする人に月1.0万円(3.3%)の賃上げ、生産性の向上などに取り組む事業所の介護職員にはさらに月0.7万円(2.4%)の上乗せを行い、定期昇給の0.2万円と合わせて、介護職員で最大月1.9万円(6.3%)の賃上げを実現する措置としています。加算率が上がるのは2026年6月分からです。

出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」 資料を見る/同「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(2026年3月13日) 資料を見る

ただし、これは事業所が受け取る加算の考え方です。加算をどう配るかは事業所が決めるため、一人ひとりの給料が同じ額だけ上がるとは限りません。

給料に反映される時期も事業所によって違います。たとえば6月分の加算は、6月・7月・8月のいずれかに払うパターンから事業所が選びます。また、新しく増えた分の賃金改善は、基本給か毎月の手当で行うことが基本とされています。賃金の仕組みを整えている途中などで、基本給や毎月の手当だけでは難しい場合に限り、ほかの手当や一時金を組み合わせることも認められています。

出典:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問1-8-1(2026年3月13日) 資料を見る/同「基本的考え方…(令和8年度分)」 資料を見る

最低賃金を下回っていそうなときの相談先

まず職場に賃金の内訳を確認する

処遇改善加算を受けている事業所は、賃金改善の方法を職員に周知することとされています。また、職員から処遇改善の賃金改善について問い合わせがあった場合は、書面を使うなどしてわかりやすく答えるよう、国の通知に書かれています。どの手当が処遇改善の分か、毎月払いか一時金かを確認するところから始めると話が進めやすくなります。

出典:厚生労働省「基本的考え方…(令和8年度分)」8 処遇改善加算の算定要件の周知・確認等について 資料を見る

労働基準監督署

最低賃金に届かない賃金の約束は、その部分が無効になり、最低賃金と同じ額を約束したものとみなされます。そのため、足りなかった分は、差額を払うよう求めることができます。

職場に最低賃金法違反があるときは、労働基準監督署などに申告して、是正を求めることができます。申告したことを理由に、解雇などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。

出典:最低賃金法 第4条第2項・第34条 資料を見る/厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」 資料を見る

総合労働相談コーナー

各都道府県労働局や全国の労働基準監督署の中などにあり、賃金を含むあらゆる労働問題の相談を受け付けています。予約は不要で、無料です。法律違反の疑いがある場合は、指導の権限がある担当部署に取り次いでもらえます。土日・祝日と年末年始(12月29日〜1月3日)は閉まっていて、平日の受付時間はコーナーごとに違います。夜や休日に相談したいときは、次のほっとラインが使えます。

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 資料を見る

労働条件相談ほっとライン(電話)

0120-811-610(無料・匿名でも相談可)。平日は午後5時〜午後10時、土日・祝日は午前9時〜午後9時です(12月29日〜1月3日を除く)。厚生労働省の委託事業で、相談はできますが、ここから職場への指導はできません。

出典:厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」 資料を見る

出勤日数によって額が変わる手当など、判断が分かれるケースもあります。自分の場合がどうなるか迷ったときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーで確認してください。

この記事は、2026年10月23日時点の公的な資料をもとに書いています。